明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
2019年の元旦は穏やかで、年末からの大雪もひと休みのようです。
さて、RAB放送『第31回津軽弁の日2018』を、ご覧になりましたか?
よりすぐりの傑作選が放映されました。
山上進さんの津軽三味線に合わせて司会者やタレントが軽妙にユーモアたっぷりに作品を紹介。抱腹絶倒で知られる「津軽弁の日」です。
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津軽言葉は独特のイントネーション
出演者の方々(敬称を略させて頂きました)
野津こうへい
田中耕
青山良平
鳴海正子
秋山博子
三味線と笛は山上進
津軽弁はイントネーションが独特で、フランス語に近いという説があります。
やっぱり難解な津軽弁?
方言詩「まるめろ」で有名な高木恭造の命日10月23日に、津軽弁の日イベントは開催されます。
川柳や俳句、詩など部門があり、放送日は年末でした。
作品を少しだけ紹介します。
川柳
夫 いねば いぱだだ 電話くる
引用元RAB「津軽弁の日」
読み方「とっちゃ いねば いぱただ 電話くる」
意味 「夫がいないとき 変な電話が来る」
プロポーズ あげたさ ねぱて 出はてこね
意味「プロポーズが 口の上部にくっついて (言葉として)出てこない」
あげたは口の上あごですが、今ではめったに使われなくなりました。
若い人には通じないでしょうね。
この人も 雪のかまりこ 咲かせでる
意味「この人も 雪の香り 咲かせている
津軽らしい情緒を感じさせる俳句ですね。
かまりこ→ニオイ
口しゃべね 人ばし増えて 祭り後
引用元:RAB「津軽弁の日」
意味「口をしゃべらない 人ばかりが増えて 祭りの後」
ねぷた祭りの熱狂と、祭りの後の寂寥をよく表現していますね。
言い得て妙です。
ぐだめきを逃げるえにして山さ来て かがこさえた握り飯食う
意味「愚痴から逃げるように山にきて、妻が作った握り飯を食う」
男性のやるせない気持ちなのでしょう。
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消える方言
秀悦な作品が多かった津軽弁の日です。
子供ら みな故郷捨てで 流れ星
読み方「わらはんどら みなくに捨てで 流れ星」
津軽弁では子供のことを「わらし」
複数形で「わらはんど」となるのです。
たしかに わが家の子どもたちも都会へ出て行き、流れ星のように生きているので、胸に沁みました。
そのほか、こういうのもありましたよ、意味がわかるでしょうか?
かっぱにして かっぱにもどして 謎が解け
文字化しにくいのが津軽弁のニュアンスです。
意味は「裏返して また裏に戻して 謎が解け
かっぱ→裏返し
人の話の表面だけでは真意は解からないから、裏を読み取って、また裏に戻して見抜くことが重要だという意味だと、私は解釈しました。
そうですね、人の話を真に受けて詐欺に遭うこともあるので、言葉のほかにしぐさなども観察することが必要でしょう。
げっぱになって やばつくなって 人になる
意味は「びりになって やばい状況に陥って 一人前になる」
げっぱはびりのことですが、この場合は底辺に堕ちて、ヤバい状況に陥って という意味合いもあるのかもしれませんね。
青森からはかつて出稼ぎ労働者として都会へ出て行った方々がたくさんいますから、なかなか深い言葉です。
純朴なだけでは世間を渡っていけない、社会の厳しさを物語っています。
孫と言葉が通じない祖父母
津軽弁はテレビの普及によって激変したとされています。
- 生まれたときからテレビの音声を聞き慣れることによって、青森の子どもであっても共通語を話すことができる。
- 昭和40年代は方言は恥ずべきものとして、学校教育の現場で共通語に矯正された
- 集団就職の時代は、方言が抜けないことを苦にして命を絶つ若者がいた
太宰治も方言を気にした1人でした。
上京したとき、後の直木賞作家となった今官一に開口一番「けりの しぼ きいだ」と言ったとか。
けり→靴
しぼ→ひも
きいだ→切れた
つまり「くつのひもが切れた」と言ったワケ。
金木町生まれの太宰治は、アクセントの強い津軽弁を話したのでしょう。
昨今は、孫との会話が困難 だと嘆くお年寄りも少なくありません。
「それ、しだらがしての」と、台所で孫娘に頼んだ80代のおばあちゃん。しかし、孫娘には意味が通じません。
しだらがす→ざるなどに食材を入れて、水切りすること。
会話が減ってしまう恐れがありますね。
ちなみに津軽弁は、日本の古語が元になっています。
津軽の「がっこ」は仏教からきています。
方言とともに、祭りの存続もなかなかに難しい。
集落に暮らす若者が 減っているから。
方言は文化遺産
一口に津軽弁といっても以前は、弘前と五所川原と黒石はイントネーションが違っていました。
城下町の弘前では、武家屋敷と商家でも言葉使いが異なっていたそうです。
食文化とともに方言も、文化遺産と言えるのではないでしょうか。
まとめ
方言どころか日本語の将来が危うい。
そんな時代ですが、津軽弁が将来も残ることを願ってやみません。
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