こぎん刺しの第一人者、佐藤陽子先生が監修された『こぎん冬の陣Part2~高橋寛子氏とともに』が藤田記念庭園の考古館2階で開催中です。
見学は無料。
こぎん刺し体験は500円~会場で申し込み可能。
私は見学し、うっとりしました。
佐藤陽子先生が撮影とブログ掲載を許して下さいました。さっそく、お伝えします。
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こぎん再興の母といえる高橋寛子氏
こぎん刺しは、手織りの麻に木綿糸で刺し綴った手刺繍です。
江戸時代の文献『奥民図彙(おうみんずうい)』には、農家の女性が刺しこぎん衣を着たイラスト絵が描かれて、当時はよく見られた津軽地方の農民の着物でした。
たいへんに手間がかかる着物で、麻の種を畑に植えて、成長させ、刈り取って、煮て、糸にしたのです。
それを織り上げて布にして、こぎんを刺すものですから、当時の女性は寝る間を惜しんで働かなくてはいけません。
自給自足の時代、津軽は寒冷地のため木綿が育たなかったのですね。
あまりに手間を要するため、明治35年頃に鉄道が開通して物流が盛んになるにつれて、廃れてしまった、こぎん刺しでした。
夫の高橋一智氏とともに
昭和初期、忘れ去られていたこぎん刺しを「農民の手仕事の結晶」というような言葉で激賞したのは、民藝運動の柳宗悦(やなぎむねよし)、陶芸家の河井寛次郎は良き理解者でした。
その河井寛次郎に、弘前出身の高橋一智は師事し、作陶に励みます。
喫茶ひまわりには、一智氏の陶芸作品がボックス席の奥に飾られていますよ。
さて、話をこぎん刺しに戻します。
「君の故郷にはこぎんという素晴らしい宝物があるから、ぜひ研究をしたほうがいい」
師からそのように励まされ、弘前に戻った一智氏は山あいの農村を訪ね歩いて、こぎん衣をみせてもらい、図案化しました。
江戸時代や明治期に刺されたこぎん刺しには、図案がありません。
当時は6歳ころから娘に針を持たせて、見よう見まねで刺し方を母親や姉たちから習いました。
それに農村の女性にとって、和紙はたいへんに高価な物ですから、今のように気軽に使用できなかったのです。
さらには、針仕事が出来ない女性は、嫁の貰い手がないとさえ言われた時代でした。
そんなこぎん刺しの文様を、高橋一智氏は生涯を懸けて、図案化したことでしょう。方眼紙に描かれたのはすべて肉筆。
几帳面なお人柄が偲ばれます。
その図案を元に、妻の寛子さんが懸命に刺したのでした。
大作は弘前市に寄贈され、今回の「こぎん冬の陣Part2」では小さな作品を中心に展示されています。
とっても細やかな刺し模様を間近で見学できます。
なかなか見ることができませんから、貴重な機会ですね。
佐藤陽子先生のこぎんのバッグ
絣の古布とこぎん刺しのバッグは、佐藤陽子先生の作品です。
はぎれを見事に縫いあわせて、こぎん刺しとコラボ。
素朴な雰囲気なのに、とってもモダンです。
会場には生前の高橋寛子氏から教えてもらった生徒さんたちの作品も、たくさん展示されていました。
「裏もきれいに」
寛子さんは、裏目も美しく見えるように丁寧に糸こきをして、作品を制作。
生徒さん達にその思いが、受け継がれているとのことです。
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古作こぎん
会場には、東京浅草「アミューズミュージアム」に展示されて、10年ぶりに津軽に帰ってきた古作こぎんも見ることができます。
丁寧に横刺しされて、こぎんも施されていますから、大変な手間と時間を要した着物であることがわかることでしょう。
第1回目のこぎん冬の陣については上記の記事で紹介しています。
また、今回も会場では楽しいクイズがありました。
佐藤陽子先生が1年がかりで制作された非常に手の込んだ作品に関するクイズで、必見ですよ。
こぎん材料も各種
コングレス生地やこぎん糸を各種、揃えていますから、こぎん刺しに興味を覚えたら即、刺せる準備が整いますね!
体験は500円~。
佐藤陽子先生が指導されます。
こぎん冬の陣の開催期間は1月21日まで。
時間 10:00~16:00
主催は藤田記念庭園利活用事業実行委員会
お問い合わせ
090-1491-4912
佐藤陽子こぎん展示館
場所
弘前公園・市民会館向かいの藤田記念庭園・考古館2階がこぎん冬の陣の会場です。
住所:弘前市上白銀町8-1
1階はクラフト&和カフェ匠館なので、軽食や飲み物などを注文すると、美味しく頂けます。
まとめ
弘前城の近くにある藤田記念庭園で開催中の「こぎん冬の陣part2」をお伝えしました。
2019年もこぎん刺しのブームが続いていますから、ぜひご覧ください。
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