2022/01/16更新しました。
津軽弁は日本の方言のなかでも、わかりにくいという声をよく聞きます。
発音、音節、意味合いにおいて、独自というか、個性が強い。
津軽弁「がっこ」についてお伝えします。
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津軽の風土と言葉
出稼ぎで都会へ働きに行くと、言葉の訛りが恥ずかしいから、同郷の人以外とはめったに口をきかない。
年配の方が、そんな話をしてくれたこともありました。
津軽弁は訛りがキツいため、都会の人は聞き取れないことが多い。
同じ津軽地方でも、城下町の弘前と太宰のふるさと金木町では、アクセントがかなり違います。
太宰治は上京したてのとき、弘前出身で後に直木賞を受賞した今官一に、「けりのしぼ、きいだ」と、困った顔で言いました。
けりのしぼ、きいだ。
意味がおわかりでしょうか?
けり→靴
しぼ→ひも
きいだ→切れた
太宰治は「靴の紐が切れた」と列車を降りて、今官一に訴えたのですね。
ちなみに「けり」は、アイヌ語由来とされています。
太宰は津軽訛りを死ぬまで、気にしていたそうです。
よほどコンプレックスだったのでしょう。
どさ?ゆさ?
画像は、虹の湖公園の長い滑り台。
ところで津軽弁で笑い話のように、テレビで紹介されるのが「どさ?」「ゆさ」
すれ違いざまに「どちらまで?」と聞くと、「銭湯まで」と答えた。
どさ?→どちらまで?
ゆさ→湯屋まで
気心の知れた集落内での会話でしょう。
津軽地方は冬、雪に閉じこめられたように寒さ厳しく、口を開くのもエネルギーを消費するため、言葉数すくなくても会話が成立するようになったという説も。
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がっこ
ふるさとの言葉は、東北でも微妙に違います。
理由は語源が違うので、意味も異なるのです。
津軽弁「がっこ、け」を訳すと、 がっこ→飲み水
「け」→ちょうだい。
津軽弁では、「お水をちょうだい」です。
ですが、秋田では「漬物を食べれ」という意味だとか。
秋田の「いぶりがっこ」は有名。
そう、「がっこ」は、秋田では漬物を指します
なぜ、秋田と青森では意味が違ったのでしょう。
『津軽弁と語源』小笠原功著によると、秋田では漬け物を「香(かんば)しい物」ということで、香の物と呼びますが、その香に接尾語をつけて「かうこ」訛って「がっこ」になったそうです。
青森のほうは、梵語で功徳水を意味し、仏前にそなえる清水の「閼伽(あか)」が言葉の元だとか
伽(か)を濁音化させて、親しみをこめる「こ」をつけて、がっこ。
津軽弁は、古語が語源だそうですが、梵語とは……びっくりですね。
サンスクリット語です。
梵語はインドの伝承である梵天が起源ですから、恐るべし、津軽弁。
意外や意外、国際的な起源もあるのです。
津軽弁は日本海側をつないだ弁財船の影響もあり、裏日本の町々に似た意味の言葉があるとのこと。
でも、「がっこ」が水を意味するのは、津軽だけかもしれません。
まとめ
津軽弁では「がっこ」はお水のことです。
秋田では「香の物」の漬物。
方言についてお伝えしました。
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