弘前市賀田(よした)地区にある、鳴海要記念陶房 館にて、3月13日から27日まで
「宙(そら)とぶこぎん」展が開催中です。
午前9時から午後4時までの開館時間。
3月15日と22日の火曜は休館日となっております。
とっても貴重な年代物のこぎん刺し衣を無料で見学できるとは、なんて幸せでしょう。
疲れたり、おなかが空いたとき館内では有料で飲み物や軽食サービスを頼むことができます。
さて、すてきな建物である鳴海要記念陶房館。
一歩ギャラリーに入ると、こぎん衣が自由奔放に飛んでいました!!
旧岩木町にお住いの石田昭子さん・88歳 が30代から蒐集したこぎん刺し衣37点の展示しています。
石田さんは昭和3年(1928年)生まれ
子どものころから、こぎんの模様が好き。
「なして、こったら美しく刺せるんだべな」と、不思議に感じたとか。
そして結婚され、子育てが一段落した30代から古作のこぎん衣を求めて、バスに乗って、西目屋村の砂子瀬地区や遠くは中泊町へも訪ねて行ったそうです。
緻密な刺し模様です。
150年~200年前に作られました。
明治35年ころ奥羽線の開通により物流がよくなるまで、農家は衣食住、すべてが自給自足。
江戸時代、弘前藩は農家が着るのは麻の着物にしろと、厳しく制限。それは綿花が育たない北国ゆえに、他国からの木綿の買い入れを抑えたかったからでしょう。
北前船が運ぶ木綿は当時、高価だったのです。
それで農民は畑に麻を栽培し、繊維を取り出し糸紡ぎを経て、機織りで反物にしました。
たいへんに手間がかかるので当時の人たちは、数枚の着物で一生を暮らしたのです。
生まれる子どもの産着やおむつも手作りの麻布でした。
冬は寒い雪国ですか ら、寒さ対策が必要で、少しでも家族が暖かく過ごせるように、工夫したのがこぎん刺しです。
おっ、これは珍しい!
伊達ケラです。
とても状態が良いですね。
スポンサーリンク
伊達ケラは、昭和20年ごろまで使われた雨具。
シナノ木を薄く削って作り、襟元に手の込んだ模様をほどこすのは、津軽だけの特色。
西目屋村の砂子瀬地区では新妻のために新郎が贈る風習があったとか。
育児籠の「えんつこ」かと思ったのですが、
ふたがあるので、おひつを入れて保温するみたい。
陶房館スタッフの宮地令子さんが教えてくれました。
ありがとう♪
向こうにあるのは、「おおぐつ」
これを足に履き、雪を踏みしめて、けんど(県道)作り。
いまでは見られない風物詩ですね。
石田昭子さんは蒐集とともに、自らこぎんを刺してきました。
私が伺った日、
石田昭子さんとお孫さんの舞子さんも在館していて、仲の良いご家族に、見ているだけで幸せな気持ちに☆
昭子さんの発案で「宙とぶこぎん」とし、娘さんやお孫さんが展示を手伝いました。
「タンスから飛び出して、こぎん刺しの着物が時も超えて、どこさでも飛んで行ってさ、未来の人たちにかつての女性の心が伝われば良いっきゃのー」
石田昭子さんは目を輝かせて、話して下さいました。
すてきな古作こぎん衣を一般公開して下さり、有難うございます♪
2018年8月28日更新しました。
スポンサーリンク