時代とともに、津軽弁は消えつつあります。
わが家でも夫と子ども達の 発音は明らかに違います。
生まれたときから1日中テレビの音声を聞いている若い世代は、なまりが少ないですね。
私は自分では「なまっていない」と思っていますが、家族に言わせると「お前が一番なまっている」、「ネィティブな津軽弁しか話せない」と散々(-_-;)
消えつつある方言
さて、そんな生粋の津軽人である私は先日、90歳になる古文書の大家とお話する機会がありました。弘前市立図書館の藩日記やそのほかの書物について教えてもらうなかで、その大家がふと、こう私に聞いたのです。
「へちょべ って、津軽弁がわかりますか?」
へちょべ?
おへそかしら?
おこげかな?
あれ~、なんだべ。
聞いたことがあるような、ないような感じでうまく答えることができません。
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正解は、鍋底についた煤(すす)のこと。
電気炊飯器が普及する前、かまどで炭や焚き木を燃やしてツバ釜でご飯を炊いた昭和30年以前なら、ふつうに使われていたでしょう。
ですが、いまは鍋底に煤がつくのはキャンプ場でご飯を炊いたときくらいかもしれません。
やがぐる
こちらは簡単でしょうか。
「やがぐる」は今もけっこう使いますね。
モノを巡って争い、取りあうことです。
おかずを取りあう、お菓子を取りあう、遺産を取りあうは「やがぐる」です。
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ごんぼほり
うちの子どもが高校生のとき、お友達との会話で首をかしげたそうです。
「家の弟さ、朝がらごんぼほって、ずっと泣いでいだんず」
うちの子どもはこう返しました。
「へ~、朝から畑でごぼうを掘ったの! すごい。で、なんで泣いたの? 畑の作業が辛かったの?」
お友達はびっくり。
「おめ、なにしゃべってらんだ? 違うべよ。ごんぼほりって言うべさ」
はい、そうですね。
「ごんぼほり」 は、地団太を踏んで聞き分けのない子どものことや、酒飲みがくだを巻いて周囲を困らせるようなときに使います。
時代とともに言葉が変化するのはよくあること。
そして日本語のなかでもイントネーションや意味が特殊な津軽弁は、郷土に生まれ育っても理解しがたくなっているようです。
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