弘前ペンクラブ会員のフナキトキコさんが、本を出版されました。
『ALLOW:ALLOW』北方新社
カバー表紙が上の写真です。
ALLOW:ALLOWは、英語で「もしもし」のような誰かに呼びかける言葉ですね。
物語の舞台は未来、地球はすでに環境破壊のため人が住めないという設定です。
最初の出だしから、丁寧な筆致でスムーズに読める小説。2つの作品から構成され、38ページずつ合計76ページの本です。
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ネタバレなしでストーリー紹介
主人公の少年リュカは、宇宙空間に浮かぶコロニーで暮らしています。
地球を脱出することができた人類がコロニーで生活し、子孫を絶やさないようにして生きている、というシュールな設定。
ネタバレなしで、ストーリーを紹介しましょう。
リュカの両親は、別居しています。
コロニーが方々に散らばっているため、父親はその環境の維持を担う民間企業の重役なのです。
リュカは母親のマリーと生活をしていますが、マリーは仕事一辺倒の夫に不満を感じていました。
やがて夫婦は離婚することになり、子どものリュカは自らの意思で父と暮らすことを選び、飛行船に乗り込むのですが、身勝手な大人に乗っ取られて……。
非常に練られたSFファンタジーで、フナキトキコさんが大学生のころから構想を紡ぎ、胸にうかんだ思いを文章にした佳品です。
フナキさんは、弘前市内の太宰マップを作成したデザイナー。
太宰治学びの家で文学講座をされたこともありました。
『ALLOW:ALLOW』の本は2部構成で、もうひとつの小説は後ろの表紙から読み始めます。
とてもおしゃれで、なんて凝った装丁でしょう!
本作りのプロであるフナキさんのセンスが光り、私はうなりました。
こちらの表紙から読んだときの主人公は、レオン。
地球に取り残され、劣悪な環境の中で生き延びた少年です。
切ない物語で、最後の場面ではだれもが「あっ!」と驚くはず。
2つの小説がそこでぴたりと符号するんですね。
ステキな本を読むことができ、幸せ。
フナキトキコさん、ご上梓おめでとうございます。
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