弘前出身の作家、根深誠先生が『カミサマをたずねて』をご上梓され、読みました。
感想をお伝えします。
津軽で「カミサマ」といえば、悩める者に解決の気づきを与える霊能者を指します。
解りやすいところでは例えばスピリチュアルで知られる江原敬之さんや、下北の木村藤子さんのように霊的なものを感じる力が鋭いとされる人を、津軽では昔から「カミサマ」と呼んだのです。
さて、登山家として著名で、白神山地の自然やマタギについてのたくさんの著作がある根深誠先生。
ディープな民間信仰をテーマに本をお書きになりました。
『カミサマをたずねて・津軽赤倉霊場の永助様』
根深誠著・中央公論新社出版
とても中身が濃いです。
赤倉霊場の生き神である永助様を中心に、青森に根付く民間信仰について学術的につまびらかにした317ページの本。
(写真は『カミサマをたずねて』口絵に掲載されている永助様の銅像)
永助様は本名が太田永助。
江戸末期に生まれ明治15年頃まで実在した人物です。
子どもの頃から神がかったところがあり、人の生死や未来を見通す眼力があったと伝えられ、30代のある稲刈りの日に、赤倉山の山中に飛び去ったと伝承がある。
飛び去った後は赤倉山の神となり、人々に信仰されてきた。その民間信仰について、神社を初めいろんな角度からヒアリングし、民俗学の専門書と照らし合わせた労作なのです。
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赤倉霊場とは
(イメージ写真)
岩木山の北面に位置した赤倉霊場は、大石神社からさらに少し登ったところにあります。
弘前市内から車で40分ほどの山中。
私は巖鬼山神社には何度かお参りしていますが、赤倉霊場には手を合わせたことがありませんでした。
巖鬼山神社、森の中の聖地
また、板柳町にほど近い弘前市種市に赤倉神社があり、代々のカミサマと信者の方々が大切にしている御神水があるとのこと。
(イメージ写真:平川市で撮影)
赤倉様、永助様の継承者がトシヱさんというカミサマで、本書を読むと津軽には脈々と信仰が根付いていることを知りました。
信者が語ったページを読み進めると、とてもふしぎな心持ちになります。素朴な人々が純粋な気持ちで信じていることが伝わりました。
ちょっとびっくりしたことは、赤倉様をお参りする者は、肉や卵、ネギやタマネギ、ニンニクを食べてはいけないこと。
信者の方は精進食を守っているのです。
あとがきには根深先生が小さいとき、母に連れられ「カミサマ」にみてもらった体験があることを明かされています。
中央公論新社刊です。
『カミサマをたずねて 津軽赤倉霊場の永助さま』は根深誠先生が年月を費やして研究され、世に問う会心の一冊に違いないでしょう。
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