弘前市御幸町にある『太宰治まなびの家』では毎月第3日曜日に文学講座が開かれています。
写真は、館内のようす。
玄関からまっすぐ廊下が台所まで続いて、大正時代そのままの造り。
中廊下型平面の建築物としてめずらしいものです。
この家は道路の拡張工事により取り壊されるはずでしたが、価値のある建物を残そうと市民運動によって保存されて、現在の場所に移築されました。
蔵元だった当主の 藤田家は、太宰治の実家である津島家と縁戚だったため、旧制弘前高校に通学したとき太宰治を下宿させた家です。
海外からも太宰ファンが訪れる施設で、太宰治まなびの家として無料で見学できます。
開館時間:午前10時~午後4時
年末年始をのぞき、年中無休
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弘前のまちおこし・太宰治からのメッセージを生かすには?
3月の文学講座は19日午後2時から開催。
弘前医療福祉短期大学部教授・牛田泰正先生は、ご専門の地域おこし・マーケティングの分野をわかりやすく話されました。
市町村の生き残り戦争はまるで戦国時代!
人口減少に悩む1800の市町村が皆、同じようなことをやっているため、めちゃくちゃ競合が激しい。差別化を図り、オンリーワンを目指さなければ、衰退が免れない。
牛田先生はまず、現実の厳しさを紹介。
例として八戸市の取り組みを挙げて、「長い間、特色が薄い街」だと言われていたため、せんべい汁を全国区に押し上げたそうです。
●弘前はリンゴの生産地・日本一としてアップルパイの街をもっと盛り上げてもいいのではないか。
●同業者に遠慮しているのか、目立つことを怖れているようにも映る。
●首都圏の人にアピールするには、ぜひナンバー1として売り出す戦術を。ナンバー2では注目をしてもらえない。
太宰の目に映った弘前とは?
太宰治は弘前について、けっこう厳しいことを作品のなかで述べています。
ひと口でいうと「市民はプライドが高いけれど、弘前のどこがそんなによそと比較して誇れるのか、僕にはちっとも判らない」と、そんな感じ。
現在は五所川原市となりましたが、大地主とはいえ津軽半島に位置する金木町に生まれた太宰にとって、弘前は鼻につくところがあったのかもしれませんね。
つまり、太宰からのメッセージは、「弘前市民よ、つまらないプライドを捨てて、泥をかぶってもいいし、笑われてもいいから、地域を盛り上げて若い世代を定着させよ」ということではないでしょうか。
牛田先生のお話とは違うかもしれませんが、私はそう思った次第です。
意識が変われば行動が変わる
「まちづくりをするのは、ひとりひとりの地域の人たちですよ」行政任せやコンサルタント任せだと、数年で続かなくなるそうです。
自主的にやることが大切。
「意識が変われば行動が変わるのです!」と、牛田先生は穏やかななかにも、熱く語りました。
次回の文学講座は4月16日午後2時~3時
詩人として「文學界」に掲載された船越素子氏がお話されます。
5月21日には、私・田邊奈津子が弘前市出身の鎌田慧さんが書いた太宰治についての本を基にお話をさせていただく予定となっています。
見学とともに文学講座も無料ですので、ぜひ皆さま、お越しください。
2018年8月3日、更新しました。
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