弘前市御幸町にある『太宰治まなびの家』では毎月第3日曜午後2時から、太宰治文学講座が開講されています。
入館は無料、かつ講座も無料。
2017年12月17日は弘前ペンクラブ会員で、瑠璃の会同人である船木統紀子さんがご登壇されました。
有限会社・小野印刷所にお勤めの船木さんは、本の編集やウエブデザインを担当されています。(記事を書いた当時)
お仕事の関係で、弘前市内の太宰に関連する場所を巡るマップを作成。
それが太宰治青春散歩地図です。
発行は弘前大学付属図書館。企画と立案は弘前大学人文学部の山口徹元准教授(当時)で、イラストが金澤蘭子さん。
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弘前大学と太宰治との深い関わり
写真は弘前大学の敷地内にある旧制弘前高等学校外国人教師館。
いまは弘大カフェ成田専蔵珈琲として営業中です。
弘前大学の前身である旧制弘前高校にて太宰は学び、その3年間で芥川龍之介の自殺に衝撃を受けたり、義太夫に凝ったり、同人誌を発刊したり。
2015年に何げなく撮影した『弘高青春之像』。
太宰はこの像のように友人たちと語らい、あるいは感化されて左翼活動に誘われもしました。
弘前は戦災に遭わなかったので、明治期の洋館や面影を残す街角が多く残っています。
太宰が弘前で暮らしたのは、18歳からの昭和2年~5年春まで。
当時から営業していた土手町の『珈琲屋 万茶ン』は、現在も喫茶店を営んでいますよ。
太宰治まなびの家は、太宰治が下宿した家。
2階には太宰治が落書きした跡も。
「自殺未遂を繰り返して、あげくに愛人の山崎富江と心中したためでしょうか。
太宰のイメージは暗いという声が多数あります。
けれど作品を読むと意外とユーモアがあって明るい。マップを制作したとき山口准教授から『明るくさわやかな太宰の一面を前に出したい』という要望がありました」と、船木さん。
美知子夫人も「太宰は家に居るときはよく話し、よく笑う人だった」と、回想に書いています。
船木さんは「時代は刻々と変化しており、太宰の印象も変化すると思う。朝霧カフカ原作の漫画『文豪ストレイドックス』やDMMゲームズのブラウザゲーム『文豪とアルケミスト』などキャラクターされています。フィクションがきっかけで文豪のイメージが変わることもあるでしょう」と解説。
弘前ペンクラブの斎藤三千政会長もご挨拶をされました。
「太宰はこの家に友人を連れてくることがよくあったそうです。太宰は若いときも晩年も人の下宿を訪ねることはあまりなく、自分の住まいへ呼ぶことを好みました。
この太宰治まなびの家には、高校時代に発刊した同人誌のコピーもありますから、ぜひじっくり読んでみてください。もうじき生誕110年を迎えますし、新たなファンを獲得するはずですよ」
多彩な作品を書き残し、いまも読み継がれる文豪・太宰。
太宰治文学講座は2018年度も6月と9月をのぞいて、毎月第3日曜に開催の予定です。
2018年8月2日に更新しました。
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