2024年3月19日更新しました
11月7日~9日まで弘前市立百石町展示館にて、『vol.11浪漫の街 弘前さ・き・お・り展』が開催されています。
時間:午前10時~午後5時まで
全国からよりすぐりの裂織作品が一堂に会しています。弘前では『津軽地機の会』が活動していますが、関東や関西の作家の作品は、なかなか観賞できないのではないでしょうか。
さ・き・お・り展はグループ展で11回目。着古した木綿を裂いて撚りをかけて緯糸に、麻糸や木綿糸を経糸に織られるのが、古来からの技法です。
機織りの技を用いて、自然や優美な心を表現。洗練された作品にため息です!
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共通テーマ「りんごの花」
作家それぞれの持ち味が光る共通課題は、りんごの花。
リンゴの生産量が日本一の弘前ですから、うれしい!
写真左から製作者は目黒和子さん、田中アイさん、野口和子さん、藤井洋子さん。
機織りですから、糸にする古布を集め細く裂く手間も時間がかかります。
草木染めの専門家もいる今回の展示会は、華やかな裂織も鑑賞できました。
四季折々の季節感を大切にしたタペストリー。
裂織は、青森では昔はこたつ掛けや帯に作られて、農村の人々の暮らしに密着していたのです。
いまはモダンなアートとして、様々な表現として広く知られるようになりました。
グループさ・き・お・りの代表は茨城県に在住の野口和子氏。
「裂織の魅力は、眠っていた古布に光を当てて、作品として再生させること。裂織の主役は古布です。私はそのお手伝いをしているだけです。『工房和 主宰』」
*コメントは、パンフレットを参考にいたしました。
裂織(さきおり)からSAKIORIへ
もともとは使い古してすり切れた古布を細く裂いて、機で織り上げることで布に新たな命を吹き込むのが、裂織でした。
本県では南部裂織と津軽裂織があり、モノが豊かになるにつれて廃れてしまった手仕事です。その再興に尽力されたのが、故・田中忠三郎先生でした。
(写真は2008年ころに、津軽の伊達ケラという雨具を解説している田中忠三郎氏)
麻の衣を作るのは大変に手間がかかり、何年も着ることですり切れて襤褸(ボロ)になります。その古布を捨てないで、細く裂いて機に掛けて織り直したのです。
麻てらすの映画に忠三郎先生は声で出演。大麻から繊維を取り出す日本古来の技術を知ることのできるドキュメンタリー映画。
その手仕事が裂織で、素朴な味わいと布としての強度が持ち味。
現在は、祖母や母などの絹地の着物がふんだんにありますから、そういう着物をほどき、細くして裂織りにすることもあると、叔母から聞いたことがありました。
私の叔母(実母の妹)は、機を自宅に置いて、趣味で織っています。
私が、裂織のことを知ったのは、2007年ころ「津軽地機の会」代表の田中アイ先生にお会いしてから。
弘前城の夜桜を裂織の屏風にした大作。
ただただ、見惚れたものです。
今回の会場で、お元気な田中アイ先生にお目にかかることができました。
古布のリサイクルとして発達した裂織は今後、SAKIORIとして海外からも注目されることでしょう。
2階にもたくさんの作品が展示され、それはそれは絵画のような大作が!
また、販売ブースもあります。
桜を用いた草木染めの糸や、一閑張ブローチなど。一閑張は、和紙に柿渋を塗り、防水加工する技法だそうです。
日本の工芸にふれることができました。
遠路はるばる弘前まで展示のために協力下さった皆様、ありがとうございます。
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