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『あきらめないことにしたの』宮城県在住の作家 堀米薫さんの新著

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2024年5月25日更新しました

福島県飯舘村の渡邊とみこさんを取材して書かれたノンフィクションを紹介します。

著者は福島県生まれで、現在は宮城県で農業を営みながら作家活動をされる堀米薫さん。

原発事故で故郷を追われた、農家のかーちゃんの話です。

東日本大震災

2011年3月11日の東日本大震災

 

東日本大震災は、巨大地震と巨大津波と 引き起こしました。
そのとき東京電力福島第一原子力発 電所の事故も起き、風向きが飯舘村へ流れたため、
村民のほとんどが避難しなければならなくなったんです。
かぼちゃの品種改良とジャガイモの新品種「イータテベイク」を熱心に取り組んでいたさなかの、原発の水素爆発でした。
しかも相次いで3号機、4号機建屋も。

 

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のどかな山間部で農業を営み、季節の山菜を摘み、祭りを楽しんだ暮らし方が、根こそぎ奪われ、それは4年を経ても、なにも解決していません。
でも、農業ととともにこれからも生きていこう。
そんな決意と覚悟のもと詩を書いたのが、1954年生まれの渡邊とみ子さんです。
写真が載っていますが、まるでお地蔵さまみたいな温顔で、笑い顔のすてきな女性です。

    困難を乗り切る力

農産物

結果的に飯舘村の土壌は、放射性物質に汚染されてしまいました。
計画避難区域に指定され、作付けができない。
でも、品種改良した作物は、種つぎをしなければ。
そんな葛藤のなかで生まれた詩が『あきらめないことにしたの』

 

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詩に感銘を受けて、涙があふれたという堀米薫さんが渾身の力で書いた一冊です。
読了すると、東北の農民の力強さと悲しみが、私を包みました。
とみ子さんだけでなく、土地に帰ることができない方や、除染された土地で苦しい戦いを続ける農家がいる。
そのことに気づかされます。

農業と文学

堀米薫さんの新刊

 

堀米薫さん自身も被害を受けた農家さんです。
私は、一昨年、宮城県角田市へ行き、堀米さん夫婦を訪ねました。
児童文学の先輩作家として前から存じ上げていましたし、
震災の復興に立ち向かう東北の人々を書き続ける薫さんを尊敬しています。
ご主人とともに、肉牛を飼育しているのですが、嫁ぎ先の堀米家は旧家。

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裏山をお持ちで、130頭の牛を飼育し、田んぼも3町歩。
ご主人とはともに岩手大学で学んでいたときに知り会い、卒業後に結婚されました。

薫さんのご両親は最初、苦労の多い農家に嫁ぐのを反対されたとお聞きしたことがあります。
とても魅力的なご主人は、若い頃はアメリカの農場で研修を積まれ、語学堪能ですから、アフリカのガーナや東南アジアの色々な国からの研修生を受け入れている農家さんでもあります。

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被災農家だから解かること

りんごの花

震災のとき、飼育牛に、野積みしてあった稲わらを飼料として与え、出荷停止という災難に。
「停電で情報が入ってこないから、何も知らずにいつも通りに、外に出て牛を飼育していました。いま思うと、私たちも放射性物質を浴びていたはず」
一昨年、お会いした時そう話してくれました。
同じ農家だから、渡邊とみ子さんの境遇が身に沁みたことでしょう。
薫さんは本のなかでこう書いています。

《大きな困難に出会ったとき、とみ子さんはなぜ、あきらめずに前を向くことができたのでしょうか。
 私は、とみ子さんが大事にしたいことをはっきりと自分のなかに持っていたからだと思います。
 種をつなぐこと、地域の食文化をつなぐこと、そして自分の力で生きていくこと……》

 なにを大事にしたいのか。
 自問自答してみると、見えてくるものがどなたにもあるでしょう。

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『あきらめないことにしたの』堀米薫著 新日本出版社 読みやすく、大人はもちろん、中学生や高校生にもお薦めの一冊です。

 

 

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