東北の手仕事として、ファンが多い津軽こぎん刺し。
こぎん刺しの専門雑誌「そらとぶこぎん5号」が発刊されています。
今回の特集は、前田セツさん。
こぎん刺しを日本のみならず、国際的に知らしめた手芸家です。
そらとぶこぎん5号をレビューします。
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そらとぶこぎん5号
布目を数えて、刺し綴る津軽こぎん刺しは、庄内刺し子や南部菱刺しとともに、日本三大刺し子と言われます。
藩政時代、津軽の農民は木綿衣を禁じられ、自家栽培できる麻しか着ることを許されませんでした。
こぎん刺しは、麻の布目をふさいで、 防寒のために雪国・津軽地方で発達。
農民衣の美の結晶と、民藝運動の柳宗悦に激賞された刺し子です。
前田セツさんは大正8年(1919)五所川原市生まれで、平成7年(1995)にご逝去。
20歳で、旧岩木町の農家の長男と結婚し、岩木山を仰ぎながら、こぎん刺しの再興に尽力しました。
その生涯が、そらとぶこぎん5号に、詳しく掲載されています。
この表紙、岩木山を表現したこぎん刺しです。
前田セツさんは、漬物作りも名人。
弘前アグリマーケット四季彩館に、お漬物がたくさんあるのは、前田セツさんの手業が脈々と後輩達に受け継がれているからなのでしょう。
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片山良子先生と前田セツさん
弘前在住のエッセイスト・片山良子先生の講演が6月23日に、カフェフローラを会場に行われました。
生前の前田セツさんと交流があった片山良子先生のお話は、胸に沁みる内容。
片山先生はリンゴ栽培のご主人を支えながら、「暮らしの手帖」に寄稿を続けて、こぎん刺しを全国に向けて発信。
温厚で努力家だった前田セツさんのお人柄、そして古い津軽弁も教えてくださったのです。
そらとぶこぎんは、年に1回の発刊。
片山良子先生も寄稿なさっています。
また会場には、佐藤陽子先生もいらっしゃって、久しぶりにお目にかかることができました。
片山良子先生の講演は、「そらとぶこぎん」の編集員・石田舞子さんの企画だったそうです。
舞子さん、ありがとうございます!
こぎんのモドコ
一針一針が、手刺しのこぎん刺し。
いまでこそ、図案がありますが、昔は「耳で刺す」と言ったとか。
明治のころは和紙が高価ですから、母から娘へ、あるいは祖母から孫娘へ、口伝で教えたそうです。
「花コ」「べごっコ」「馬のくつわ」「かちゃらず」「だんぶりコ」「猫のまなぐ」……。
文様の名前も、コアな津軽弁。
そらとぶこぎんの公式サイトには、こぎんに関する逸話がたくさんで、勉強になります。
三縞こぎんは、旧金木町や中里町など、津軽半島の村で刺されたこぎん衣。
現存するものが少ないのですが、そらとぶ4号には29点も掲載されています。
かつての農村の娘たちは、頭のなかで図案を組み立てて、刺しました。
すばらしい手仕事の津軽こぎん刺しは、どなたでも始めることが可能です。
チャレンジしてみませんか。
布目が数えやすいコングレス生地と、こぎん糸がセットされています。
弘前市内の手芸店では、各種とりそろえて、通信販売をしているお店もあります。
そらとぶこぎん5号も、津軽工房社のサイトから購入可能。
まとめ
そらとぶこぎん5号についてお伝えしました。
今号はこぎん刺しを世界に知らしめた前田セツさんの特集。
写真もたくさんあり、セツさんの微笑みに見入りました。
片山良子先生の講演会も拝聴することができ、たいへん勉強になり、ありがとうございます!
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