辛いものが大好きな方、集まれ♪
清水森ナンバを使ったヘルシークッキング。畑から収穫した野菜や山のめぐみを利用して、自宅でおもてなしをする『ここからファーム』でベジ料理教室を体験しました。
江戸時代に京都から津軽にもたされた清水森ナンバ。唐辛子のことを津軽弁でナンバといい、400年も昔から栽培されてきた在来種です。
三浦紀子さんが商品開発した『清水森ナンバこんにゃく』を使ったメニューはピリっとした辛さがたまらない美味しさ。
ベジタリアンに対応し、好評なベジキッチン『ここからファーム』をお伝えします。
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ここからファーム
農業体験や民泊、料理教室を主軸にしている『ここからファーム』は弘前市松木平(まつきたい)にあります。
この日は、中南地域県民局地域農林水産部が主催する「農のふれカフェお披露目会」。
『ここからファーム』を経営する三浦紀子さんがご自宅で、参加者を待っていてくれました。
大きなお宅には、おしゃれな薪ストーブや三浦さんが染めた藍染のタペストリーと編んだアケビ蔓のカゴがあって、新感覚の農家を思わせます!
『ここからファーム』は、心(こころ)と体(からだ)を健やかに育む農園という気持ちから名付けられたそうです。
長身ですてきな奥様の三浦紀子さんは、若いときは陸上の選手だったとのこと。
「実家が農家なので、子どものときから農業にふれてきました。また母が津軽の郷土料理を得意としているので、自然と教わることが多かった。
結婚後も長く勤めていましたが、思い切って好きな農業に専念したくて退職。お日様のにおいがする野菜を作り、減農薬栽培に努めています」
やさしい笑顔で話されます。
清水森ナンバ
真っ赤な清水森ナンバと青い清水森ナンバです。
見るからに辛そうですが、在来種の清水森ナンバは、輸入物と違ってマイルド。
弘前藩の初代藩主、津軽為信(つがるためのぶ)公が京都の伏見稲荷から持ち帰り、広めたという歴史ある唐辛子です。
その味は、国内の唐辛子の中でも群を抜いて甘みがあり、風味もばつぐん。
赤ナンバこんにゃくと青ナンバこんにゃく
研究熱心な三浦紀子さんは、清水森ナンバをおいしく食べるために、赤ナンバこんにゃくと青ナンバこんにゃくを商品開発しています。
青森市のAファクトリーや弘前市の「野市里あねっこ」、東京物産センターで取り扱いがある!
開発されたきっかけをお聞きしましょう。
「おからこんにゃくを開発した岡田哲子さんのセミナーを受講し、おからをこんにゃくに混ぜてヘルシー食材が作れるのなら、清水森ナンバのこんにゃくも出来るのではないかと思ったのが最初です。配合の調整がむずかしく、2年の歳月を要したのですが」
何と2年!
努力のあかつきに成功した唐辛子入りのこんにゃくです。
ピリッと辛い「赤ナンバこんにゃく」はステーキや煮物に最適。
ベジタリアンは日本人にはそれほど多くありませんが、海外では野菜や穀物だけを食する菜食主義者は珍しくありません。
ヴィーガンという呼称もありますね。
青ナンバこんにゃくはサラダやお刺身にぴったり。
今回のベジキッチンは、清水森ナンバこんにゃくを利用した野菜と穀類のメニューです。
袋から取り出すと、赤いつぶつぶと青いつぶつぶが!
清水森ナンバを刻んで混ぜ込んだこんにゃくですから当然ですが、けっこうな量が入っていそう。
清水森ナンバのフライ
フライにする前に、赤ナンバこんにゃくを半分の薄さに切り、しょうゆとお酒で下味をつけます。
それから、表面に細かな切れ目を入れました。
男性陣も包丁を手に奮闘です。
「慣れていますね」
「はい、いつも家でも仕事場でもやっていますから」
『料理研究一家古川家』として、奥様やお嬢さんとともに活動する古川勝也さん。
フライにするので、小麦粉とパン粉をつけます。
厳格なベジタリアンにも対応している三浦さんは、水に溶かした小麦粉を卵の代わりにしていました。
私はベジタリアン料理は初めてなので、肉ナシのメニューが新鮮です。
パン粉もつけたら、植物油で揚げます。
からりときつね色に。
青ナンバこんにゃくのふりかけ
さて、もう一品。
お刺身もイケるとの青ナンバこんにゃくは今回、ふりかけに。
フードプロセッサーで粉砕すると、辛味成分が空気にとけて、ツン!とした香りが部屋に漂いました。
青ナンバがこんにゃくの10パーセントも入っているそうです。
それにしても、こんにゃくがふりかけになるとは!
発想が面白いですね。
数秒でみじん切りになります。
そうしたら、フライパンで水分を飛ばすように炒める。
お酒としょうゆ少々で味付けOK。
ぱらぱらになるまで炒ると、青ナンバが効いた振りかけの出来上がり。
さあ、試食ですよ。
自然の恵みたっぷりメニュー
ベジキッチンのこの日のメニュー
- 赤ナンバこんにゃくのフライ
- 青ナンバこんにゃくのふりかけ
- かぼちゃと毛豆のサラダ
- 山菜のミズと清水森ナンバの和え物
- さもだしのみそ汁
- わらびもち
料理教室で作ったほかに、三浦さんの手作りおかずも並びます。
かぼちゃと毛豆のサラダは、野菜の甘みが感じられるやさしい味。かぼちゃも毛豆も三浦さんの農園で収穫した野菜。
津軽のおいしい枝豆の毛豆は、サラダにトッピングしても絶品です。
もうひとつの山菜のミズは、初夏から山で採ることができます。
皮を丁寧にむいて、さっと茹でるとみずみずしい青になるので、「ミズ」。
清水森ナンバのピリッとした辛味が、しゃきしゃきのミズとよく合う一皿。
お待ちかねの試食タイムは、ビュッフェ・スタイルで各自がお皿に盛りました。
修学旅行の農業体験を受け入れている「ここからファーム」。
STAYJAPANに登録し、農家民宿を始めたのは今年から。
「松木平は高原に位置しているので、夏でも日が沈むとエアコンなしで過ごせます。 季節の野菜の収穫体験や 冬であれば薪ストーブを使ったピザ作りやシチューなども楽しめる。スペインからの旅行者は3泊して、津軽を満喫されたよ」
言葉は通じるのですか?
そんな問いかけに、三浦さんはにっこり微笑んで、手でハートマークを作ります。
「言葉が通じないときは、ハートでふれあえるようにしています」
赤ナンバこんにゃくのフライを頬張ると、アラ不思議!
エビカツみたいな食感です。
サクッとしたフライなので、こんにゃくと思えないボリューム。
後からピリッとくる辛味が、癖になりそうなおいしさです。
私はソースで頂きましたが、タルタルソースもよく合うみたい。
ご飯にかけた青ナンバこんにゃくのふりかけは、青ナンバの風味がおいしくて、お代わりしたくなる。
ベジキッチンはけっこう食べごたえがあって、デザートのわらびもちを頂くころは満腹となりました。
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農業で生きていこう
食事の後で、三浦さんの農園へ案内して頂きました。
車で7分ほどの距離にある5反歩の畑には、清水森ナンバのほかトマトやとうもろこし、じゃがいも、さつまいもにハーブなどを作付しています。
「農村に生まれて、子どもの頃から農業と接していました。
この農園は知り合いから縁あってゆずってもらった土地。幸運でしたね。感謝を忘れずに野菜のおいしい食べ方も広めていけたら」
三浦さんのポロシャツには「ここからファーム」の文字が刺繍があり、さわやかなブルー。青森の風のよう!
体験メニュー
ベジ料理教室・ベジキッチン
料理の基本やおいしい野菜の食べ方を教えてもらえます。
自家製の野菜を主にした主菜と副菜、汁物、デザートなど5品。
料金
2000円~2500円
住所
電話・FAX::0172-78-2879
期間
年間を通して受け付け
人数
5~6人
駐車スペース有り
予約が必要です。
ここからファーム
http://cocokara-farm.com/73689/
とても意欲的で明るい三浦紀子さん。
自ら商品開発した清水森ナンバこんにゃくを手に、「料理が好きで、作物を育てるのも好き。大人も子どもも元気になる野菜を提供したい」と、おっしゃいました。
農とともに生きることを決意された三浦紀子さんは、津軽のスーパーレディです。
まとめ
9月の末と10月初めに「農のふれカフェお披露目会」に参加させていただきました。
特色ある4軒の農家さんと出会え、皆さんの地元愛に私も心が洗われる思いがします。
『ここからファーム』の三浦紀子さんは農業者のなかでは若手で、ベジタリアンに対応という新しい発想をテーマに、農のふれカフェに登場。
「農家の楽しさを知ってもらい、お客さんと楽しい時間を過ごしたい」
清水森ナンバこんにゃくのフライとふりかけは、美味しくて食物繊維たっぷりの料理。
食材を畑で収穫体験し、自宅でおもてなしというくつろぎ空間は、故郷へ帰ったような心地よさを国内外の旅人に与えるでしょう。
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